著作権法に規定されている私的利用と検討過程での利用について
著作権法に規定されている私的利用と検討過程での利用について
先日デザイン業界の方と話しをする機会があった。
デザイン業界の人によれば、企画内容を社内で吟味するために書類を作ることがあるが、その書類にはネットで検索した第三者の写真を使っている。
その理由は、私的利用は著作権法で許されているからだという。
ほんとうだろうか?
著作権法30条(私的使用のための複製)には、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」に限って利用できるとしている。法人での利用は私的利用には該当しないので、私的利用だから社内文書に使えるというのは間違いだ。
また、著作権法30条の3(検討の過程における利用)には、企画書などの検討資料には自由に著作物が利用できると誤解している人もいる。
これについては、監督官庁である文化庁に電話して聞いてみたところ、企画書(キャラクター商品企画等)などで将来許諾を取る予定の著作物(ピカチュー等)を社内文書に使うことはできるということだった。
要するに、社内稟議書の添付資料にピカチューを使っても良いが、それは稟議が通った後に、任天堂などの著作権者に使用許諾を得て商品化する内容の稟議書でなければならないという限定されたものなのだ。
2015/9/1の組織委員会事務局長の記者会見において、五輪エンブレムを選んだ選考委員(デザイナー)が「クローズドの場であれば、ウェブで検索した他人の写真を書類に使うのは良くあることで、問題ない」という認識を示したが、全くの認識不足であり、コンプライアンスの認識が欠けている。
デザイン業界においては、著作物利用についてのコンプライアンスについて、今一度認識を改めて欲しい。