電子書籍の利用率が20%を超えて増えない理由
電子書籍の利用率は20%しかない、というか、ここ数年全く増えていない。
これにはコンテンツの権利(著作権及び著作隣接権以外の権利)の移動のしかたが大きく関係している。
これまで数百年、この社会では物語や思想や教養を得るために写本や活字印刷された紙のまとまり(いわゆる現在の本)を命と引き換え(命を削って得たカネと交換)に手に入れていた。
これまでは、そのコンテンツの所有権を手に入れていたのだ。
そのコンテンツを別の誰かに転売してもいいので、必要な時にお金に変えることのできる資産価値があった。紙の本にはそれが今もある。
しかし、電子書籍を命と引き換えに手に入れたとしても、そのコンテンツを転売することはできない。もしなんらかの方法で転売すると、刑法に抵触し犯罪となる。
なぜなら、電子書籍は手に入れたわけではなく、出版社と電子書籍システム会社にそのコンテンツを借りているにすぎないからだ。
電子書籍の所有権は移転しておらず、利用者は読ませていただいているという、とても弱い権利(賃借権や利用権)しか移転されないのだ。
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多くの人がここまで深く考えているわけではないが、人間というのは直感でそれを感じるものなのである。
逆に言うと、安心感、資産価値、所有欲を満たすという、モノ(商品や製品)が本来持っている価値を電子書籍は持っていないのである。