Proof-of-Workによってその都度台帳管理者を決定しないプライベートなブロックチェーンは危険である
ブロックチェーン技術を使って、都市銀が少額決済事業に参入するという。
政府のゼロ金利政策によって、利ざやが取れないからだろうが、手数料の高さに利用者として辟易する。
CAFISや全銀ネットのような閉域網(プライベート・ネットワーク)で、ブロックチェーン・システムを動かすと、大きな問題が生ずることになる。
中本智さんが発明したブロックチェーンには、枕詞がついている。
「Proof-of-Workによってその都度台帳管理者を決定する」ブロックチェーンなのである。
政府機関、独法、銀行などの大企業などに依存せずに、誰もが閲覧でき、書き込むことのできる「取り引き台帳」であり、かつ、不正やクラッキングに強く、セキュリティ面で安全に運用することができる。
それを実現したのは、中本智さんが発明したProof-of-Workというブロックチェーンと表裏一体の「社会科学的仕組み」があってこそ、ブロックチェーンは安全に運用できるのである。
ブロックチェーンのいいとこ取りをしたいからといって、
「電気代をかけず楽に運用したい」
「閉域網で俺が管理運用すればいい」
ということをやった瞬間、そのブロックチェーンは安全や信頼性からは程遠いものに成り下がってしまう。
これが、ブロックチェーンのブロックチェーンたる所以であり、少額決済が速くできることは付随的なメリットに過ぎないのだ。
閉じたネットワークでブロックチェーンを動かし、銀行のような特定の管理者が運用するのであれば、ブロックチェーンがもつその信頼性は皆無となり、消え失せる。
「取り引き台帳」に書き込む管理者は常に同一人物(たち)であり、不正に台帳に書き込んだのかどうかを検証できるというブロックチェーンの特徴がまったく機能しないのである。
あくまでも、ブロックチェーンとは開いたネットワーク(アクセス制限のない公共のネットワーク)で運用してこそのシステムなのである。
閉域網でブロックチェーンを動かしても、なんの意味もない。