一人ひとりの消費行動が、企業の意思決定に影響を及ぼし結果的にこの社会の有り様を変える
アップルが製品の組み立て工場を中国からインドへシフトし始めた。
取りも直さず、近い将来において、中国から米国に輸入するすべての物品への課税が強化されるためである。
アップルは、iPhone6s、SEを従来からインド工場で製造していた。
今年に入りiPhone7を製造し始め、7月からはiPhoneXシリーズを製造し始める。
もちろん、iPhoneの裏蓋には「assembled in india」と記載される。
ダイソーやSeriaといったいわゆる100円ショップが台頭した1990年代から、ここ日本でも、日用品や衣類に占める中国製品のシェアが6割を占めるようになった。
その頃から、中国は世界の工場と呼ばれ、アンフェアな労働力を糧に経済を成長させ、オリンピックまで主催できる国となり、1980年に日本のGDPの10分の1しかなかったGDPも日本の2倍にまでなっている。
安い労働力だけがメリットであった中国だったが、経済が成長すれば賃金も上昇し、そのメリットは影を薄めた。
そのうえ、高額の関税がかかるとなれば、工場を置いておく理由は見当たらない。
日本でも、米国でも、これまでのような、グローバリズムは諸手を挙げていいことだという思想から、自国の文化を大切にしたいというナショナリズムが台頭し、国内への工場移転が進みつつある。
携帯大手キャリアのソフトバンクのビジネスモデルのような、日本国内で稼いで、そのお金を海外に投資して利ざやを稼ぐというモデルが崩壊し始めているのである。
私自身、消費行動が変わり、「made in china」を積極的に買わないようになっている。
一人ひとりの消費行動が、企業の意思決定に影響を及ぼし、結果的にこの社会の有り様を変えるからである。